概要
地域健康フォーラム「大腸がん治療の最前線」シリーズを再度開催することになりました。2回目となる「大腸がんにかからないために~予防と検診について~」は、弘前大学附属病院消化器外科助教の坂本義之先生にご登壇していただきます。
スケジュール
9:45 受付開始
10:00 講演
10:50 休憩
11:00 質疑応答
11:30 閉演
レポート
大腸がんは遺伝子の変異によって発生すると語る坂本先生。胃がんや子宮頚がんなどの場合、がんの原因となるウイルスや細菌が見つかっているが、大腸がんはまだ見つかっていないという。ただし危険因子として考えられていることに、「牛・豚肉の食べ過ぎ」「運動不足」「野菜の摂取不足」「大量の飲酒」の4つを挙げた。
また、青森県は大腸がんの死亡率が全国でも最も高いことを解説。食事の欧米化とともに内臓脂肪の多い人が増え、比例して大腸がんが増えることを紹介し、内臓脂肪が多い人は手術時間が明らかに長くなり、肺炎や血栓症など術後の合併症もそれに伴って増えるという。そして「太ることは自分で手術を大変にしているのと同じ。内臓脂肪減らしましょう」と呼びかけた。
最初に受ける検診は、便に混じった血液を調べる「便潜血検査」が最も簡単で有効という。弘前大学OBの斎藤博先生(現・国立がん研究センターがん予防・検診研究センター部長)が開発したもので、早期大腸がんの約50%、進行がんは約80%が発見できる。要注意なのは、がんを必ず発見できるのではないこと、陽性でもがんでない可能性もあることで、可能ならカメラで大腸の中を見る内視鏡検査の受診を勧めた。
一方、肝臓にがんが転移した進行がんの患者でも、肝臓を手術で切除すると5年生存率は50%だが、手術しないと8%とのデータを示し、「進行がんでも手術で寿命は伸びる。諦めず希望を持ってほしい」と話した。
講演後の質疑応答では、大腸がん予防以外の質問や疑問も寄せられ、「セカンドオピニオン」や「再発のリスク」に関することもあった。参加者の中には「内臓脂肪が多いと手術時間が長くなってしまうことを初めて知った。肥満には気をつけようと思いました」といった感想を述べる方もおり、現役の外科医から聴ける講演として参考になったと、興味深そうに話していた。一つひとつ丁寧に回答した坂本先生は、検診の大切さを訴えてフォーラムを締めくくった。
イベント詳細
フォーラムは「大腸がんにかからないために~予防と診断」というテーマで、講師に同科助教で村田先生の「下部消化管外科(大腸)」チームの一員である坂本義之先生を迎えて開講します。統計データを基に大腸がんの基礎知識や発生のメカニズムなどを知ると共に、免疫力を高める食事法、日常生活での心がけることといった予防を勉強する内容となります。
坂本先生は前回の講演後、患者や看護師から「いつ・もの・ことを読んだよ」と声をよくかけられたとのこと。「意外と読んでいる人がいるんだね」と笑いながらも「大腸がんのことを少しでも正しく知ってもらいたい」と、語っていました。
<坂本義之(さかもと・よしゆき)>
1973年生まれ。青森県上北郡六戸町出身。八戸高校卒業後、弘前大学医学部に入学。卒業後は県内の病院で経験を積み、2010年より弘前大学医学部附属病院に所属。11年4月より現職。趣味は野球。
【申込方法】 はがき、FAX、メールのいずれかで「地域健康フォーラム」と明記し、郵便番号、住所、氏名(フリガナ)、年齢、電話番号をご記入の上、「いつ・もの・こと弘前版編集部」へお申込ください。
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